約 60,057 件
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2199.html
佐助は千代女の屋敷に戻ると事の顛末を報告した。 「お前ともあろう者がみすみす取り逃がしたと言うのか!?」 千代女の扇が真っ二つに割れた。 怒りの余り千代女の顔色は青くなりワナワナ震えている。 佐助はじっと静かに頭を垂れていた。 「我が甲賀の禁術、敵方に漏れて何とする!?答えや佐助!!」 「――畏れながら」 佐助は淡々と理由を告げた。 かすがは禁術を会得しているもののまだ未熟で、とても他の忍に秘儀を伝授するだけの 能力が備わっていない事。 今突然望月が単独で上杉に戦を仕掛ければ、武田から叛意有りと受け取られかねない事。 最後に今回かすがを使ったのは千代女の独断であり、武田の意向では無い事。 「くっ……」 流石の千代女も黙るしか無かった。 「……下がって良い」 不機嫌な表情のまま、千代女は佐助を下がらせた。 誰も居なくなると千代女は割れた扇を力任せに襖に投げ付け爪を噛む。 (何と口惜しい) かすがの代わりを早急に育てねばならない。 しかしそうは言っても適当な者などなかなか居る筈もなく、千代女は臍を噛んだ。 先に織田方へ送り込むべきだったと後悔したが後の祭りだ。 (まこと口惜しい事よ) 夜明け前19
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1545.html
忍びである猿飛佐助の朝は早い。 今日も今日とて貴重な睡眠時間を確実に確保しつつ(因みに前日午前二時就寝) 朝日が昇ると同時に目を覚ます。時刻は午前六時(現在(ry)を指している。 「さぁてと、今日もお仕事お仕事っと…」 破格の待遇で躑躅ヶ館の一角に設けられた自分の部屋から姿を現し、 水を汲むため井戸に向かう最中で、佐助はザバ、と言う水音に気づいた。 「ん?あの音はまさか…いやいやあの二人が寝たのはもっと遅いはず… だけどあの井戸を使う人間は限られてるし、でもあの二人以外はこんなに早く 起きないだろうし…」 昨夜が昨夜だっただけに、普通に考えれば『あの二人』では無いはずである。 「ま、いけばわかるっしょ」 意味も無く鼻歌交じりに佐助は足を勧める。 そして、暫くもしない内に井戸の手前の角を曲がった瞬間、佐助は驚愕の 瞬間を目の当たりにした。 「早起きとは何と清々しい事よ、のう幸村ぁ!」 「まことに仰るとおりでございまする、お館様っ!!」 佐助の想像しうる限り、どう考えても自分より眠っていない筈の信玄と幸村が、 井戸の端で仁王立ちしている(何故仁王立ちなのかはわからない) その姿は実に爽やかで清々しく、ともすれば開いた口から見える歯が本当に キラリと輝き、飛び散る汗は眩しく光る勢いだ。 少なくとも、数時間前まで情事に浸り、あらん限りの体力を使い果たした筈の 人間の所業には到底見えない。実際には使い果たしていないが。 「………ウソダローン」 上司二人(一人は少女)の底無しの体力に、佐助はそう言う以外為す術も なかった。 そんな佐助の脱力感を知る由も無く、 「お館様っ」 「幸村っ」 「おやかたさばぁぁっ!」 「ゆきむるぁぁっ!」 猛々しい声が二つ、明けたばかりの甲斐の空に今日も響き始める。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1867.html
佐助がいるからと幸村はあまり後方に注意を払わないのをいつも叱られていた。 「ついてくる気か」 「当たり前じゃない」 軽い動きで佐助は幸村の前まで歩み寄り、すっかり精悍さを増した頬を摘んだ。 「俺は旦那の忍びなんだから」 いつも、『ゆき』が漂わせていた儚さなど感じとれなかった。 わずかな段差を上がるのにも難儀するような身体だったはずなのに、今の佐助の動きは昔のように滑らかで僅かな隙さえ見あたらない。 「…やめよと言うても聴かぬのだな」 佐助の身を案じながらも、込み上げる歓喜を抑える事は出来なかった。 花の名はもう呼べない10
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/792.html
濃姫 長曾我部×濃姫 若魔王×濃姫 蝶と狂(光秀×濃姫) 信長×濃姫 ザビー×濃姫(陵辱) 濃姫×信玄陵辱(お館様凌辱(2 643)の改訂版) 濃姫×蘭丸 元親×濃姫 陵辱 慶次×濃姫 信長×濃姫 まつ 毛利×まつ(鬼畜) 幸村×まつ 利家とまつ 『それから。』 利家×まつ (毛利軍兵/元就)×まつ(陵辱) かすが かすが(凌辱)(北条×かすが) 謙信(男)×かすが 『佐助、手帳』 佐助×かすが(陵辱?)(ネタ度高) かすが×蘭丸(逆強姦) かすが凌辱(鬼畜) かすが×謙信様(ふたなり)(逆強姦) 『狂堕』 佐助×かすが 忠勝×かすが(解説・家康 強姦) 氏政公がみてる(小太郎・佐助×かすが、忠勝×かすがの続き) 市 毛利×市(鬼畜)(毛利×まつ(鬼畜)の続編) 長政×市 長政×お市 市 一人遊び 謙信 信玄×謙信(女) 『星合の空』 かすが×謙信(女) 信玄×謙信女(佐助×かすがもあり) 愛姫(政宗正室) 伊達(藤治郎)×愛姫 政宗×愛姫 防衛戦 可愛(元就娘) 可愛⇒元就(近親相姦) 熙子(光秀正室) 明智夫婦
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1508.html
自分の思惑通りになってくれたかと思うと、たちまち倍返しでお返しされてしまう。 (ちぇっ、なんてぇ御方だよ…俺様遊ばれてばっかじゃん…) 佐助は面白くない。ぶすっとした顔で、ため息をつく。 しかし謙信の様子をよくよく見ていると、 (ん…?) 謙信の指先が震えているのに気付く。 (へぇ、意外…完全に吹っ切れたもんだと思ってたけど…) 余裕気に戯れてみせるのは、自分の羞恥を紛らわすための行為だったか。 (馬鹿だねぇ…負けず嫌いも程々にしときゃいーのに…) 女の強がりはそんなに嫌いじゃない。 そうむきになって怒ることもないか、と大目に見てやることにする。 いやしかし、他人事に気を取られている場合ではない。 「さ、佐助…?」 かすがが驚いた顔で佐助を見ている。 「あー、っと…」 とっさの言い訳が思いつかず、引きつり笑いのまま目を泳がせる佐助。 「その、お前…」 かすがは相変わらずムッツリした顔をつくりつつも、少しだけ嬉しさを覗かせる。 「そんなに、興奮してるのか…?」 「んっと…まぁ、そんなとこ…」 意外な反応に戸惑いつつ、照れくさそうに返事をする。 それを聞いて、かすがの奥がきゅ、きゅ、と反応してしまう。 「あっ…」 思わず声を漏らし、しまった、という顔をしたので 「んっ……ひょっとして…俺のシコってるとこ、想像してんの?」 佐助は即座に責めに転じる。 「べっ、べつに…そんな訳ないだろっ」 「へぇ…そいつはまた…」 「違うっ!違うからなっ!何が楽しくて、お前の…」 シコってるところを想像してその先が言えなくなってしまう。 「くそっ、お前が変なこと言うから…」 「…考えちゃったの?」 「くっ…」 また赤面する。あまりにも分かりやすい反応を見せてくれるので、佐助はつい からかいたくなる。 「…んっふふ、かすがも案外すけ」 「お前、それ以上言ったら…殺す…っ」 「そう?殺すんなら、こっちでお願いしたい所だがねぇ……んっ、ほらっ」 かすがの中で指をぐいっ、ぐいっ、と動かしてやると 「はっ、あっ…ああっ…するなっ…」 と言いながらも、自分から腰を揺らしてしまう。 (あぁっ、いけね…かわいすぎて、だめだわ俺…) かすがが愛しい。胸が苦しくてたまらない。 彼女の顔を見上げながら火照りきった部分に思い切りしゃぶりつく 「きゃああっ!」 叫んでしまうくらいの強烈な快感が、かすがの下半身を襲う。 「あはぁ、いい声…」 佐助は舌を思い切り伸ばしてかすがの滴らせる密を味わいつつ、 固さを取り戻しつつある自分のモノを力一杯握りしめる。 武田軍×上杉軍52
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/4781.html
登録日:2012/02/27(月) 22 01 18 更新日:2022/07/22 Fri 00 10 58NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 サスケェ ドM ドS 三味線 中編 元祖暴力系ツンデレヒロイン 大阪府 小説 春琴抄 盲目 読みづらさに定評のある小説 谷崎潤一郎 谷崎潤一郎 ←マゾヒズム小説家 『春琴抄(しゅんきんしょう)』は日本の小説。 著者は谷崎潤一郎、発表は1933年。 ◆あらすじ 大阪道修町の薬種商鵙屋に生まれた盲目の美少女・春琴には、幼少時より共に過ごしてきた佐助という奉公人がいた。やがて三味線の師弟という関係になった二人は、家を出て同棲を始める。 わがままな春琴に献身的に尽くす佐助。しかしある日、春琴は何者かに襲われ顔面に熱湯を浴びせられてしまう。 ひどい火傷で爛れた顔を見せたがらない春琴に対し、佐助は自らの目を針で突いて彼女と同じ盲目の世界に入る……。 ◆登場人物 春琴(しゅんきん) 本作のヒロイン。大阪の薬屋に生まれた女性。 少女時代に失明するも音楽の才能を発揮し、三味線の師匠の元に通っていた。のちに佐助と共に家を出て三味線教室を開く。 並外れた美貌を持ち、37歳の時でさえ二十代に見えるほど。 甘やかされて育ったのと病気の影響で性格が歪み、わがままで誰に対しても高慢で暴力的。そしてドS。 自分の弟子に「お前達の演奏より私が飼ってるウグイスの声の方が綺麗」とか言ったり、バチで頭をぶん殴ったりする。その性格が後年の悲劇を招くきっかけに。 佐助に対しては重度のツンデレで、暴力の度合いも他人よりレベルアップする。暴力系ヒロインの元祖とでも言うべき存在。 しかし後年起こった火傷の事件以降はやたらとデレるようになる。 佐助とは両親公認の仲だったが、「別に奉公人のことなんか全然好きじゃないんだからねっ」と言い張り籍を入れなかった。でも子供四人作った。 佐助(さすけ) 本作の主人公。春琴の家に代々仕える奉公人の家系に生まれる。 少年時代、三味線の師匠の元へ通う春琴の送り迎えを務めていた。 これがきっかけで三味線に興味を持ち、こっそり練習していたが春琴にバレてしまい稽古という名のDVを受ける。 しかし佐助はそれをむしろ喜んでいたフシがある。つまりドM。 春琴と同棲を始めてからは一番弟子兼彼女の世話係として奔走する日々が続く。 後年に春琴が火傷を負った際は、顔を見ないでくれと言う春琴の望みに応えるべく自ら視力を失った。 それでも春琴の世話は万全で、風呂も着替えも世話し続けた。 彼が自分の目を突いたのは、事件以降デレ始めた春琴への拒絶ゆえである、という見方がある。 つまり自分のマゾな願望を満たしてくれるツンドラな春琴をこそ愛していたと言えよう。とんだ変態である。 利太郎(りたろう) 春琴の三味線教室に通っていたチャラ男。 春琴を花見に誘って口説くが盛大にフラれ、稽古でも不真面目な態度を取ったためにバチの一撃を食らって怪我をさせられる。 春琴を襲って熱湯を浴びせた犯人候補。 「私」 本作品の語り手。『春琴抄』は「私」が後年に見聞きしたものを語っている、という形式で進んでいく。 ◆余談 本作は文庫本にして70ページ前後の中編だが、現代の小説と比してなかなかに読みにくい作品であることが大きな特徴である。これはカギ括弧「」と句点(。)が極端なまでに排除され、文章と文章を区切らずに書かれているから。例を挙げると「(春琴は)いつの間にか平気な顔で佐助に手引きさせながら稽古に通っていたもうその時彼女と佐助との関係はほとんど公然の秘密になっていたらしいそれを正式にさせようとすれば当人たちがあくまで否認するものだから(後略)」(本文中より引用)ずっとこんな感じ。そのうえ普通の一文一文も長く、また改行も最小限なので中編ながら意外と読むのに時間がかかる。 幾度か映画やドラマ、舞台として上演・放送されたりしている。ストーリーがストーリーだけに朗読の題材となることも。作者自身による朗読や、『天空の城ラピュタ』のムスカ役で知られる寺田農氏の朗読CDなども存在する。読んだことがない、あるいは読むのを投げた人はこういったメディアミックス作品に手を出してみるのもいいかも。 追記・修正は押し入れの中で三味線を弾いてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 佐助が女中と話してると嫉妬する春琴可愛い -- 名無しさん (2013-11-16 17 04 11) クーデレ -- 名無しさん (2013-12-05 22 02 12) いつの時代でも日本は始まってた -- 名無しさん (2013-12-05 22 41 47) これに限らず谷崎潤一郎のヤツはレベルが高すぎる。今の変態でも一線引く -- 名無しさん (2013-12-05 22 53 30) なんで春琴が佐助と関係を持ったかがよく分からなかった -- 名無しさん (2014-01-03 23 13 26) ↑何だかんだで佐助の事が大好きだから -- 名無しさん (2014-01-03 23 37 16) 源氏物語の時点で日本始まってますし しかしツンデレというか理不尽よりなんだな -- 名無しさん (2014-03-06 00 47 03) 子供のころ映画で見たけど、当時はなんで佐助は意地悪な春琴のことがそんなに好きなのかわからなかった -- 名無しさん (2022-07-22 00 10 58) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2196.html
――ならばせめて彼女に寄り添い支えよう。傍に居る事なら自分にも出来る。 かすがを伴って以来、佐助は忙しい合間を縫って何度も千代女の屋敷を覗いた。 既にかすがは千代女からの任務をこなしていた。 閨の中で己を愛した男を悉く斬り捨てる――まだ若い彼女は、たった独りで その重荷に堪えねばならなかった。 あのかすがにそんな事が出来るだろうか。独りで泣いているんじゃないか。 余計なお節介だとは思いつつも佐助はそう心配していた。 案の定、いつも人気の無い場所でかすがは膝を抱え声を押し殺して泣いていた。 近付いて声を掛けると彼女は腕の中に飛び込んで泣いた。 顔を埋めて「もう堪えられない」と言いながら佐助の胸で泣きじゃくる。 取り縋るかすがを佐助はそっと抱き締めた。 何も訊かない、何も言えない。そんな苦い逢瀬を二人は幾度も繰り返した。 最初からこうなる事は分かっていた。 千代女の企みも、かすがの哀しみも、自分の無力さも。 今は凍て付く夜の世界だ。でも必ず夜明けは来る。彼女が解き放たれる日がきっと来る。 佐助はそう信じて前にも増して戦に没頭した。 かすががもうこれ以上、誰かを殺さなくても良いように。 夜明け前16
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/563.html
もともと乳母が若君の性の手ほどきをするように、 佐助もいつかは幸村の童貞をもらってやろうと思っていた。 それが何となく惜しくなって延ばし延ばしにしていたら、 鳶に油揚げならぬ竜に油揚げをさらわれてしまった。 男にとって初めての相手は格別の印象が残る。 結ばれぬなら、せめて記憶に刻まれたいと思っていた佐助の無念さは余りあるものだ。 案の定、寝ても覚めても伊達政宗。 だから、佐助はその記憶を自分で上塗りしてやろうと企てたのだ。 記憶を消すと言う卑怯な真似ではなく、正々堂々と技巧で。 幸い向こうは生娘。大した手練ではなかったろう。勝ち目は存分にある。 なにしろ佐助は天才くのいちである。房中術の腕前にも自信がある。 激5
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1491.html
(あああっ!そこを、やられちまったら…もう…) 一刻も早く果ててしまいたくなる。とにかく楽になってしまいたい。 「(だが、これ以上…はっ…)くっ……いけねえっ…だめだっ…」 忍ごときが主人に何かをせがむなど、出過ぎた振る舞いである。 それに、為されるがままにされるのは仕方ないと観念していたが、 自分から欲しがるようなみっともない真似だけはしたくない。 佐助の葛藤に気付いた謙信は、彼の本心を聞き出してみようと思い立つ。 「だいじょうぶですよ……きにすることなど、ないというのに」 「あ、あんたにさせられるわけ…ないでしょっ……うあぁっ…」 本当はもっと尻の穴をいじっていかせて欲しいところなのだが、 そんな恥晒しなことは口が裂けても言えない。言えないはずなのに、気持ちよく なってしまいたいという欲の方が勝ってしまう。 (早く…楽にしてくれっ……いや、耐えろ…っ!) 「おくするな、さすけ…どうされたいのか、いってごらんなさい」 謙信は既に佐助の望んでいることを大方見通しているくせに、 わざわざ佐助に言わせようとする。 「…言えねぇ…だめ…だ…っ!」 佐助が口をつぐむので 「どうしてもいえませんか…それはざんねんですね…」 そう言うが、ちっとも残念そうではない。また悪戯心が湧いてきたのか 「おまえがいやがるのなら、むりじいするのはよしましょうか」 今更ながら佐助の意志を尊重してやる。 「かすが、てをはなして…つかれたでしょう」 「いいえ、謙信さ」 「はなせ」 「は…はい…」 かすがの手淫をやめさせ、しかし自分の指は突っ込んだまま指先を僅かに動かし、 弱い刺激を与え続けて焦らしてみる。 (うわあぁぁ…ここまできていきなり止めるヤツがあるかっ…) 佐助の焦燥感が表情からも態度からもにじみでてくる。こうなってしまっては 謙信の思うつぼである。 (…くっ…畜生っ…もっと…んんっ…) 尻の中がむずむずするだけでは焦れったくなり、自分でも気付かなぬうちに腰を 動かしてしまう。 「んっ!いけませんよ…じぶんのことばでいわなくては」 謙信がわざとツボを外して手の力を抜くので、佐助がどれだけ腰を揺らして 頑張っても自分の望む刺激がなかなか得られない。無言を貫く限りは謙信の手で 焦らされ続けるだけだ。 (ああ…もうっ…そんなんじゃ足りねえっ…足りねえんだって!) 佐助の苛立ち具合を見計らって謙信が揺さぶりをかける。 「だまっていては、わかりませんよ……ほら、どうされたいのか…いえっ!」 謙信の言葉に誘導され、一瞬だが佐助の理性が完全に吹き飛んでしまう。 その瞬間に、言うまい、言うまいと抑えていた言葉が口を衝いて出てしまった。 「ぁああ…尻の中をもっと……ああ、そこ…もっと押してっ、強くっ!突きながらっ、 しごいて!激しく!」 とんでもなく卑猥な言葉の連続を、感情に任せて吐き出してしまってから我に返る。 「うああぁ!何言ってんの!なんて事言ったの俺!」 違う、今のは決して自分の意志ではないと首を振るが、言ってしまったことを取り消す ことなどできない。三人の好奇の目に追いつめられ、激しい後悔の念に駆られる。 「…最低な…事……言ってら………はは…」 心が挫けてしまって、涙が出そうになる。 武田軍×上杉軍35
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1949.html
佐助は書院に入り、信玄に対して乱暴に頭を下げた。 「そう怒るな。――幸村は、こうと決めたら誰の言うことなど聞かぬところが あることくらい、そちも知っていよう」 「そうですけどねぇ! なんで止めないんですか!? 旦那がどこに行くかなんて分かりきってるし、 しかもあんなの用意して! いっそ出家でもさせたらどうなんです!?」 顔を上げると同時に、矢継ぎ早に佐助はわめいた。信玄はおかしそうに笑うと、 扇で背をかく。鷹揚とした動作が、本気で腹立たしい。 今頃幸村は、愛馬を駆って奥州に急いでいるだろう。行く場所も、会う相手も分かっている。 先回りして止めようと思ったところに信玄の呼び出しが入り、佐助の計画は頓挫した。 「佐助。儂の妻は、京より参った。顔も知らぬ女子であった」 「……普通、そうでしょ。俺だって、里から言われたら、どんな相手とも結婚しますよ」 「戦に出て先陣を斬るような女が、普通か?」 「っ――」 佐助は奥歯をかみ締める。 真田家の女当主ともなれば、いくつもの縁談が舞い込むべきだろう。 だが、幸村は並み居る武田諸将の誰よりも武勇誉れ高い。若い男は幸村に対して引け目を感じるようになり、いつしか縁談など遠いものとなっていた。 「男を見つけ、己で選ぶ。幸村は、それくらいで丁度よかろう」 佐助は不機嫌だった。 なんであんな男なんだ。もっと、他にいるだろう。 傍にいて、幸村を大切にしてくれる人。 ――いる。そう、いるはずだ。 「……もっと、いるでしょ。旦那を大切にして、真田の家を盛り立ててくれる人が」 「そのような男に、幸村が御せるとは到底思えぬわ」 信玄はおかしそうに笑い、懐かしむように目を細めた。 「全身全霊をかけてぶつかれる相手が見つかった。よいことではないか。 ……それがたまたま、敵将であっただけよ」 これでよかったのだろう。戦に出て、干戈を交えるような相手を、幸村は選んだ。 それが、幸村の定めなのだろう。信玄といえども、どうすることもできない。 別れの時に、信玄は幸村の体を久方ぶりに抱きしめ、髪を撫でた。 しなやかな体。甘く香る髪。いつの間にか「女」になっていた。 娘を嫁に出すよりも辛いな、と幸村を撫でた手を見た。 信玄の知らない甘い匂いが残っていた。 炎の微笑17